(3)ボリューム: シナリオ一つ分 vs 地球大のフリーシナリオ
現実世界のボリュームは、想像を絶するものがあります。一人一人のキャラクター、セリフの豊富さ、本やアニメや音楽などのアイテム・コンテンツの豊富さ。どれ一つをとっても、一人の人間が一生のうちに全てを知ることはないでしょう。現実世界で、RPGのようにバンバン成長できて周りより強くなれれば、圧倒的なボリュームを楽しめて、これほど楽しいゲームもほかにないでしょう。
人生ゲームについて、ボリュームの桁が違うものを挙げてみます。
- マップの広さ
- プレイヤー達を含めたキャラクターの多さ
- ゲーム世界内の経過時間
- ゲーム世界内の情報量
- アイテム数、イベント数、ミニゲーム数
- 敵、障害物の豊富さ
- 会話の選択肢
- パラメータの種類
- 立てられる目標の数
- シナリオの枝分かれ数
- etc.
さて、上のようにボリュームが多いということは何を表すか、ですが、結論から言うと「選択肢が多すぎて、逆に選べない」というところに行きつきます。
なぜかといいますと、人生ゲームの選択肢は、人間の頭の計算能力では処理しきれない量だからです。
例えば、友達に話しかけられたときに、現実世界では「はい / いいえ」の2択が現れることはまずありません。人生ゲームの場合、返答入力欄に表示されるのは、「(自由入力)」の空欄だけです。つまり極端に言えば、言語の組み合わせの数だけ、選択肢があるということになります。もちろん、人間には、理論上どのセリフがベストかを決められるほどの力はありません。
では実際の人生ゲームにおいて、私たちプレイヤーはどうやって、選択肢を選んでいるかというと、経験による勘と初歩的な計算によって、選択肢を選んでいます。
よく言われるように人生は選択の連続でできています。そして、人生ゲームの選択肢が半端ではない数だからこそ、どのような選択肢を選んだかによって、シナリオの進む方向も大きく左右されるようになっています。
RPGと人生ゲームのボリュームの多さについてまとめると、
RPGでは、人間が快適に処理できるように調整された選択肢が、少数しか出てきませんが、
人生ゲームでは、ほぼすべての選択に膨大な選択肢があり、自由選択になっています。
RPGに比較して、人生ゲームにおけるキーポイントは、「意思決定力」です。あまりにも多くの選択肢があるために、判断に迷ってしまいがちですが、逆に言えば、この選択肢の数と選択を迫られる回数の多さは、初期条件の多少の運の悪さを、軽く吹き飛ばすほどの大きな大きな振れ幅があります。